「ポーカーとNFTゲームの共通点」コインムスメ代表 辻拓也
WSOPで8回入賞3回3位、APTハノイでの2連勝を始めとする快進撃でポーカー界隈を震撼させた、ラスワンさんこと清水望さん。自身の会社を上場させた敏腕実業家でもあり、ポーカーでは周囲を圧倒してPOY2023にも選ばれた、ラスワンさんの思考回路に迫ります。ポーカーメディアPOKER PICKSがお届けします。
今までで1番ハッピーだった1ハンドについて教えてください。
自分の中で1番やってよかったなって思うのは、WSOP$5000出しの、FT残り4人のときにT9で4betオールインしたとき。
損とか得とかよりは、 「これやったら面白いんじゃね」 みたいなところを中心に考えてやってるんで、あれはすごく良かったかなと。まあなんとなく、あんまり負ける気もしなかったし(笑)
反対に、これまでで1番アンハッピーだった1ハンドについて教えてください。
アンハッピーな記憶は、そんなにないんだけど、それも同じWSOPの3回目のFTかな。
WSOPで3回3位になられた時の3回目ですね。
残り3人で、自分が75%位チップを持ってて、80%以上トロフィーが取れるっていう状況で。 休み時間にミサワさんとかいろんなプロがソリューションを回してくれて「相手はAKでもフォールドになる」と。 「今ICMがかかってるから。だから全部オールインでOKです」と。
「うん、OK。じゃあ全部オールインするわ」って意気揚々とオールインした。 ”カニさん”かな、K2でオールイン。そしたら、セカンドチップリのやつがAKで受けてきた。AK受けるやないか。話ちげーだろって(笑)
AKは相手も我慢できなかったんですね(笑)
まあ、本当は極限のプレッシャーだから、AKもセカンドチップリーダーは降りなきゃいけない。ほぼ優勝できるって自分の中で思っていて、実際その通りにプレイした。結果として、WSOPで3回3位だったんだけど、3回目の3位はほぼ優勝が見えてたから、これはまた、すごく悔しかった。
何が悔しかったって、別にコールされたことじゃなくて、AKとカニ(K2)で、2が当たらなかったことが(笑)
あっと驚くプレイが多い印象があるラスワンさんですが、トーナメントに出ている時にはどんなことを考えてプレイされているんでしょうか?
世間体的には運とか念とか波動とかを気にしてることになっているけど、そんなこともなくて。 自分がどう見られているかを意識 しているのと、 ICMをかなり理解したプレイ をしているだけであって。結果的にオールインになるから波動を使わなきゃいけない(笑) でも、みんなが思っている以上に繊細かな。
スピリチュアルなことを気にされているイメージでした(笑) では、どのようなことを考えてプレイされているんですか?
1番考えているのは同じテーブルの9人と仲良くなるってこと。コミュニケーションをしっかりとって、その人が持っている器というか物差し、どれくらいの物差しを持っているかっていうのを考える。
それはポーカーのスキルだけじゃなくて、その人の生活背景。どれくらいお金を持っているんだろう、どれくらいコミュニケーションをとれるんだろう、何をされたら嫌なんだろうっていうこととか。
どんな風に人の物差しを測るんですか?
例えば超仲良くなったやつに、いきなり真剣な顔してオールインとか言ってふざけて23を見せて。「その次はないだろ」っていうメタ読みがあるところに2回目もやる、みたいな。
コールセンターで営業をずっとやってきたんで、相手が何を考えているんだろうなっていうのはわかるというか。 だから、営業をずっとやってきたというのは良い意味でポーカーに生きているのかな。
波動や心構えについてもお伺いしたいです(笑) ラスワンさんはアンダードッグを引いて捲って勝つ印象があるんですが、オールインした時はどのような心持ちなんですか?
アンダードッグ 。たとえばAAvs22みたいな時。こっちのエクイティが2割から3割の時は、 イメージは結構フリップで、5分5分だなって思う。 あんまり負ける気はしないっていうか。まず相手の顔を見て、相手が「それ引かれたか」って嫌がる顔を想像して。 自分が落としたいアウツを結構厳密にテーブル上にイメージしてほしい。結構、ほぼ勝って当たり前ぐらいの感じで見てる。ネガティブ発言は禁止。「まあフリップだな」って自分の中で言う。この発言で50パーに上がるから。あんまり騒がないで、静かにね(笑)
フリップなんですね(笑) では確率的にフリップの時はどのような心構えなんですか?
フリップ 。エクイティが20%から30%の時もフリップだけれど、本当に確率が5分5分の時。どういう心構えかっていうと、ま、笑顔でいることですね。 俺が勝っても笑顔だし、負けても相手が増えるから笑顔だし。そういう心構えでいると、3%勝率が上がります。お互い健闘を称える。相手が、チップが増えて嬉しいかもしれないし、俺が増えて嬉しいかも。どっちが勝っても幸せだなって。こんなラッキーなことないじゃん。
フリップの中でも、AKでフリップするときは体感よく負けてしまうんですが、AKの時の心構えもお聞きしたいです。
AK 。AKが来たら、 心の中で「ありがとうね」「お前すげえな、かっこいいな」っておだててます。褒めたAK100個と 罵声を浴びたAK100個だったら、褒めた100個の方が強いはずなんですよね。検証してないんですけど。 じゃあ、ラスワン調べで。 1時間罵声を浴びせ続けられたAKと1時間褒められ続けたAK。これで、フリップをやると、なんと10%褒めた方が強かったっていう大学の研究結果が出たと(笑)
なるほど、では自分のハンドの勝率が高い時はどういう心構えでいらっしゃるんですか?
フェイバリット 。こっちが勝ってる時。これ、結構苦手です(笑) AAvs88とか、5分5分なんですよ。勝ってるだなんておこがましい。すんとしてほしい。白い歯を見せてはだめ。無。真顔で、王になった感じで見ておく。そうすることによって、エクイティが均衡に保たれます。
Part2へ続く
ポーカーピックスの編集部「ポーカーのすべてをあなたに」をコンセプトにポーカーのオリジナルコンテンツを執筆。現役プロプレイヤーやディーラーなど幅広い視点でポーカーの魅力を発信する。
WSOP2023 NLHブレスレットイベントにて3度に渡り3位入賞や国内でのハイローラーイベントの優勝など国内外問わずに活躍するポーカープレイヤー。また株式会社ラストワンマイル創業者など経営者としての一面も持つ