
「世界一に魅了されて」北嶋隼人/HayatoK Part1
経営者としての顔を持ちながらも、長年ポーカー界で活躍されてきたHayatoKこと北嶋隼人さん。WSOP Lucky7's 7-Handed FT進出やKPC HighRoller2位など、2025年の活躍も止まらない。誰に対しても紳士な姿勢で、多くの人からの支持も受ける。戦い続ける、勝ち続ける、ために必要な努力の仕方、メンタルの安定のさせ方など幅広いテーマで伺いました。ポーカーメディアPOKERPICKSがお届けします。
優勝されているイメージが多くありますが、優勝するために意識してることはありますか?
優勝というか、トーナメントですごく意識してるのが、フレームワークです。 これこそ、僕がオンラインコーチングサイトで勉強していることなんですけど。このトーナメントはどういうトーナメントか、参加人数がどのぐらいで、入賞者は何人で、フィールドは辛いのか、どういうプレイヤーがいて、自分は今チップ量がどの立ち位置でいるのかとか、常にそれを大枠を考えながらプレイすることが大事で、常にトーナメントに入る前から考えてるし、プランニングしています。
僕、基本的には50bbぐらいで入ることが多いんですけど、例えば富士山を登る時に、いろんなルートがあると思います。どこで休憩して、どのタイミングでお水取って、このくらいのペースで登っていこうとか、それと一緒で、トーナメントもそういうプランニングっていうか、フレームワークを考えて、目標の達成、ゴールに向かっていくっていうのは大事だなと思っています。
50bb付近に入るのには何か理由があるのでしょうか?
50bb以下の勉強をメインにしているからです。 基本的にトーナメントって最終的にインマネ前やファイナルテーブルに近づくと、設計的にアベレージが30bb〜50bbになって、あとは自分がショートになった時の10bb〜20bb、その辺りの戦いが1番多くなるんですよね。
それ以外のシチュエーションでトーナメントに参加することってそんなにないので、50bb以下でいいと思うんですよ。 結構深いレベルをたくさんやりたい人は別にそれでもいいと思うんですけど、そもそも勉強の効率化もあるし、自分の戦略としてもそっちの方がいいかなとは思ってます。
プレイヤーとして成長したネガティブだが乗り越えたターニングポイントはありますか?
ネガティブなターニングポイントは、さっきも少し言ったんですけど、ポーカーって皮肉にもミスしたプレイヤーがラッキーして勝つみたいなことが多々あるとは思うんですけども、僕もポーカー始めたての時はそれをなかなか受け入れられなくて、さっき言ったように消化できなかったんです。
1年目、2年目とかは、なんであの人あんなことやって、俺がこんなの食らわなあかんねんみたいな。でもそれってその現象を受け入れないと次に進めないんで、なんかその感情を受け入れるようになったら、心を乱されないというか、そうなってから成績も良くなったような気がしてます。
ポーカーの勉強は普段どのようにされていますか?
僕は勉強することが好きで、元々本を読むのもすごく好きです。多分ポーカー関連の本は20冊以上読んでいます。気になった時にすぐAmazonで注文して、次の日に目次を見て、気になったところから勉強していきます。それからトーナメント等で自分で試してみたり、アウトプットするようにしています。
本以外だと、オンラインサイトですね。先程お伝えしたchipleader.com、またUpswing Poker(ポッドキャストもあり)はポーカーの勉強はもちろんの事、英語の勉強にもなります。 chipleader.comは、僕の大好きなAlex Foxen選手が運営に携わっていて、彼のチップを持った時のプレッシャーのかけ方やプレーラインがすごく好きなので、それを学んで実践に活かせるようにしています。 あと、Upswing Pokerだと、ポッドキャストとかもあるんで、海外に行った時に、ビーチでウォーキングしながら聞いたり、車の運転中にも結構聞いています。
最近あんまり聞かないですけど、PokerSnowieとかは昔たくさんやっていました。最近だとGTO Wizardで自分のライブでのこのスポットはどうだったんだろう?っていうのを確認しています。 それから詩菜(岡本)も絶賛していたんですけど、GTO Wizard blogも結構見ていて、いろんな戦略が書いてあるんで、あれを全部マスターするだけでもかなり上達するんじゃないかなと思います。
あとは勉強で言うとYouTubeをすごく見ます。 よく見るのがTritonと、あとはEPTあたりです。あとは先ほども言いましたが、Alex Foxenが好きなんで、彼が出ている動画を検索して、たくさん見ています。 教科書に載ってないプレーがたくさん出るので、それでチップを築き上げてるのが興味深いですよね。もちろん基本を本とかサイトで勉強はするんですけど、応用の部分を僕はYouTubeを見て探しています。 あとは最後にその日の振り返りをするようにしています。分からない時は友達に聞いたりもします。
仲の良いポーカープレイヤーはいますか?また、どのように切磋琢磨していますか?
始めたての頃はわからないスポットを中野DDPTのShopMakerさんに全部聞いていました。 ショップさんはすごく丁寧に教えてくれて、ポーカーの土台はショップさんに教わったと言っても過言ではないです。
その後はミーちゃん(ミサワ)のコーチングを受けました。 WSOPとかで休憩中に「ミーちゃん、こんな感じでやられたんだけどどう思う?」って聞いたら、「相手のベットサイジングとベットラインめちゃめちゃうまいから、こんな感じで対応したいね」とか、色々教えてくれたり、議論してもらえるんで、ありがたいですよね。
あとはファルコンさん。ここ数年は遠征がよく一緒なので、食事中や車の移動中とかに、本に載ってない超有料級な戦略を教えてくれたりします。ファルコンさんは相当勉強していて、それをしっかりアウトプットし結果を残せている点は素晴らしいと思います。
会社経営者としての一面、どのようなビジネスをされていますか?また仕事とポーカーの相関性を教えてください
僕はガールズバーを都内で8店舗やっています。 先ほどもお伝えしたように、洞察力っていう部分では非常に似ていますね。
あとはポーカーって人生の縮図みたいなところがあるじゃないですか。途中まですごく上手くいってたのに、最後だけ良くなくてバブル前に飛んじゃったりとか、逆に今日はずっと全然冴えなかったんだけど、気づいたらFT行ってて、優勝したみたいな時もあったりして。 経営もそういうことって結構あるんですよね。ポーカーをしてからそういう浮き沈みを結構受け入れられるというか、心の準備というか、耐性がついた感じがします。メンタル的にすごく強くなった気がします。
長年ポーカー界にいて、仲間からの支持も厚い隼人さんですが、業界での上手い立ち回りについて教えてください。良好な関係を作ることで得られる機会などがあれば教えてください。
本当に自然体でいるだけで、好きな仲間と好きなことをやるっていうだけで、それがたまたまそういう風に見えてるだけだと思います。 僕とかもそうだったかもしれないですけど、昔はマナーが悪い子が非常に多かった気がしてて。でも今は全然そんなことなくて、みんな礼儀正しかったり、そういう面で業界として良くなってきたイメージはあります。
皆がそういう気持ちを持って、お互いをリスペクトしたり、スポーツっていう風なマインドでやれれば、スポーツマンシップじゃないですけど、良い方向にこれからも向かっていくんじゃないかなと思います。
若いプレイヤーも増えてきて、どのような印象をお持ちですか?エクスプロイト観点などプレーで変えている部分もあれば教えていただきたいです
今の若いプレイヤーは本当に勉強していて、強い子も多いです。ただ、そのラインにあてはめすぎてるというか、そこにプラスアルファができるかというのが本当に差が出るところだと思っています。なので僕はそこにつけ込む事を意識しています。イメージは基本+応用の応用の部分ですね。
エクスプロイトに関してですが、このあたりを一番参考にしてるのはAlex Foxenです。チップを持った時の闘い方はめちゃくちゃ参考になります。 プレッシャーのかけ方が半端なく、その時のバリューとブラフのバランスもとても良く、ブラフとわかっていてもコールできないようなベットサイズやアクションを相手に押し付けます。シチュエーションを最大限活かしたポーカーで、そこはトーナメントの醍醐味と僕は感じてます。
注目しているプレイヤーだったり、ライバル的な存在はいらっしゃいますか?
遠征の時に一緒になることが多いジョーさん、ファルコンさん、ラスワンの3人からは刺激を存分に受けています。 3人ともWSOPやEPT、WPTなどでトロフィーを獲得している実力派です。
大胆かつ繊細で、相手を惑わすジョーさん。メンタルのブレがなく期待値の高いプレーを永遠と継続できるファルコンさん。それからファンタジスタのラスワン。三者三様のスタイルがあって、その3人の話を聞いてると、人間としての真の強さというか、みんな自分を持っていて、それを人にぶつけてポーカーをしている感じがします。 3人とは経営者として経営的な話もするので、そういう部分でもいい刺激をもらっています
他にも刺激を受けるっていう意味では、フラッグハンターの有里さんですね。ヘンドンモブというサイトでは入賞したらその国の国旗が反映されるのですが、有里さんはその数が世界トップクラスです。そんな生き方もすごい素敵だなと感じています。 ポーカーをしながら世界中をまわって、いろんな方に夢を与えています。 昨年の夏にバカンスでふらっとポルトガルに行ったらユリさんと現地でばったりお会いしたりもしました(笑)
最後に詩菜の活躍はやっぱり仲間として本当に嬉しいですね。彼女がポーカーを始めた頃から知っていて、切磋琢磨していたので。 勉強の量がそのまま結果に繋がっているし、本当に彼女の努力の賜物だと思うので、今後さらに期待ですよね。
今後の日本のポーカー会がどのように推移していくのか、業界として日本人プレイヤーの活躍と共に予想があれば教えてください。
コロナの後に日本のポーカーマーケットが急速に拡大しているのを身に染みて感じました。
最近では、APT等で台湾やベトナムに行く機会が多いのですが、日本同様にここ2、3年でその2国のマーケットがとてつもなく大きくなっているのを感じています。 タイやマレーシアでもプレイヤーが増えていて、ここ数年はアメリカやヨーロッパと比べてもアジアでのポーカーの普及がより加速しているのではと感じています。 日本だけではなくアジア全体のマーケットがとても大きくなるんじゃないかなって予想しています。
日本はまだカジノができていない状態でこのマーケットなので、今後5年、10年後のポーカー界の盛り上がりとマーケットとしての拡大にさらなる期待を寄せています。
最後の質問になります。今後の個人としての目標を教えてください。
個人の最終目標としては、WSOPのブレスレット、EPTやトリトンのトロフィーを取りたいです。向上心を忘れずに常に目標に向かって挑戦し続けたいです。
ポーカーピックスの編集部「ポーカーのすべてをあなたに」をコンセプトにポーカーのオリジナルコンテンツを執筆。現役プロプレイヤーやディーラーなど幅広い視点でポーカーの魅力を発信する。
日本の経営者兼ポーカープレイヤー。WSOP Lucky7’s ファイナリストやKPC High Roller準優勝など国内外で活躍。