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おしえて!Amu先生!六限目~特徴あるプレイヤーに対するエクスプロイト戦略〜

皆さんこんにちは!皆さんはエクスプロイト戦略を構築したことはありますか?今回はAmu先生の最後の講義としてエクスプロイト戦略について解説いただきました。これまで教わってきたGTO戦略やポーカーの理論の総まとめとしてポーカーの理解に是非お役立てください。それでは、着席!ポーカーメディアPOKER PICKSがお届けします。

Amu先生、本日が先生の講義の最終回となりますね。

そうですね。これまではGTOの基礎や戦術などの基本的なことをお話してきました。

おかげさまで、ポーカーにおける大事なことがわかったような気がします。

それはすごい。では、これまでのお話を踏まえて、今日はよく遭遇する特徴的なプレイヤーのエクスプロイトについてお話しましょうか。

お願いします!

特徴的なプレイヤーを特定するタイミング


エクスプロイトを考えるためには、リークのあるプレイヤーであることを事前に知っておかないといけないですよね? そもそも、どのようにして特徴的なプレイヤーであることを特定するのですか?

特徴的なプレイヤー、いわゆるレクリエーショナルなプレイヤーであることを判断する軸はいたるスポットにあります。

たとえば、プリフロップで合理性のないハンドが出てくる、フロップのペアボードでポットオーバーのベットをしてしまうといったようなアクションです。 これらは、ある程度ポーカーを勉強していれば利益的でないことが想定できるアクションです。このように利益的でないであろうアクションを見つけた場合は、その段階でレクリエーショナルなプレイヤーとしてしまっても差し支えありません。

しかし、その人もエクスプロイトでそのアクションを選択しているかもしれないですよね?即座に決めつけていいのですか?

確かにその可能性はゼロではありません。しかし、仮に強いプレイヤーが意図して特徴的なアクションをしていた場合は、その後のプレイラインから強いプレイヤーであることはすぐにわかります。したがって、一旦はレクリエーショナルなプレイヤーと判断してもOKです。

プレイヤーの特徴ごとのエクスプロイト戦略


オープンレンジが広いプレイヤー

ここからは、それぞれの特徴に応じたエクスプロイトをお話しましょう。 どのようなプレイヤーのエクスプロイトが知りたいですか?

まずは、プリフロップのオープンレンジが広いプレイヤーのエクスプロイトが知りたいです!

プリフロップのオープンレンジが広いプレイヤーと対峙したとき、 一番やってはいけないことは相手のオープンレイズに対して過剰にフォールドすること です。

相手に圧倒されてタイトになりすぎないということですね。

はい。 そして、このような相手にはコールレンジを広げることも検討されます。プリフロップのレンジの広げ方は大きく2種類あります。

ひとつはコールドコールを広げるパターン、 もうひとつはレイズ(3bet)を広げるパターン です。どちらも選択肢となりますが、どちらかというと、後ろのプレイヤーも降ろせる レイズを広げるほうが戦いやすい と思います。

相手プレイヤーが3betに降りない場合はどうすればよいですか?

確かに、このパターンのプレイヤーはプリフロップの3betに降りないことも多いです。 そのため、 フロップもCBを打っていくくらいの覚悟で戦略を組むと良いと思います。

オープンレンジが狭いプレイヤー

逆にオープンレンジが狭いパターンはどうですか?

このようなプレイヤーの場合、オープンレンジを変える必要はありません。 彼らは支払うブラインドに対して、プレイでチップを回収出来ていません。 その分の利益は同卓しているプレイヤーに分配されています。

座っているだけで自動的に利益的になっているということですか?

はい。ただし、彼らがオープンしてきたときは、比較的強いレンジを有しており、3betに降りないことが多いです。 したがって、こちらはそこまで強くないハンドでの参加を避ける必要があります。

3betも非常に強いハンドで行うほうが良さそうですね。

3bet頻度の高いプレイヤー

3bet頻度が高いプレイヤーはどうですか?

3betが多いプレイヤーは、大きく2つのパターンがあります。

1つは3betレンジが非常に広いケースです。 このケースは、弱いハンドも3betしているケースであるため、 通常より広く3betにコールしていくことが良いと思います。 具体的にはスーテッドコネクターやAxスートとったハンドです。

たとえば、A8sやA9sなどは均衡では3betにフォールドしますが、このタイプのプレイヤーを相手にする場合、これらのコールが検討されます。

もうひとつは、弱いハンドを3betしているわけではないが、混合戦略の3bet頻度が非常に高いプレイヤーです。 このプレイヤーの場合は強いハンドのほとんどを3betに回してしまう分、コールしたときのレンジが弱くなります。 そのため、 このプレイヤーがコールした場合にはこちらからアグレッシブに攻めていくのが有効です。

コールドコールが多いプレイヤー

コールドコールが多いプレイヤー相手にはどうすればよいでしょうか?

そのようなプレイヤーがいる場合は、オープンレイズすることの利益がブラインドをスチールすることに由来するハンドのオープンは気を付けたほうがよいです。 たとえば、KToなんかはスチールすることを想定している代表ハンドになります。このようなハンドはマルチウェイになると、非常に使いづらいです。

スチールを主な利益としているハンドはオープンしないことも検討したほうがいいですね。でも、そうすると極端にタイトにプレイすることになりませんか?

オープンを削る部分もありますが、 代わりに22、33といったポケットペアのオープンを増やすことができます。

22、33を組み込んでいくのはやはりセット引いたときの恩恵が大きいからですか?

そうです。マルチウェイにおいては、トップヒットでも強さとして心もとないです。一方で、ポケットはセットになるとマルチウェイでも耐えうる強さになります。 頻繁にマルチウェイになることが想定される場合、ポケットペアはEVが上昇することから捨てたくないハンド群です。

マルチウェイで強いハンドだとスーテッドコネクターとかだと思っていました。

よくある誤解ですが、スーテッドコネクターはマルチウェイだとそこまで強くありません。というのも、78s、89sなどは、仮にフラッシュを引いても上のフラッシュに負けている可能性も高く、難しい判断を迫られてしまうことが多いからです。

スーテッドコネクターが配られても参加は慎重に考えなければならないですね。

ちなみに、コールドコールが多いプレイヤーから3betが来た際には、相当強いレンジ構成となっているため、オーバーフォールドを心がけてください。

リンプインをするプレイヤー

リンプインが多いプレイヤーであればどうでしょうか。AKが配られたときに既にリンプインされていたりすると困ってしまいます。

リンプインするプレイヤーの多くはリンプ/コールの体制を取ります。したがって、 自分がレイズする場合は通常より高いサイズを用いたほうがよいです。 具体的には、5-6倍程度のレイズを打つとリンプ後にフォールドする頻度が出てきます。

しっかり人数を削ることが大切ですね。 でも、このような相手には極端な話、降りないなら12倍などすごい高いレイズをしてもよさそうに思えます。

ただ高いサイズを打てば良いというわけでもありません。彼らがリンプインをしているハンドの多くは本来フォールドが正しいアクションであるハンド群です。 ここに、あまり高いサイズを使用してしまうと、 相手をフォールドという正しいアクションへ誘導してしまいます。 そうすると、相手から取れうる利益が少なくなってしまいます。

マルチウェイになることはあまり気分が良くないですが、このようなプレイヤーがコールしてくるギリギリのサイズでレイズを打つことが最もEVを積めるということを覚えておくとよいと思います。

時には難しい判断を迫られるタフな選択もしていかなければならないですね。

ポストフロップでのエクスプロイト戦略


コンティニュエーションベット(CB)が多いプレイヤー

プリフロップが特徴的なプレイヤーについてはよくわかりました。ここからはフロップ以降について教えてください。

わかりました。まずはコンティニュエーションベット(CB)が多いプレイヤーから考えていきましょう。

どんなボードでもベットしてくるCBの多いプレイヤーにはレイズ頻度、 特にブラフのレイズを増やす ことが有効です。

コールを増やすのではだめですか?

コールを増やすことは相手がターンで止まってくれれば有効になりうるかもしれませんが、弱いハンドで無理してコールして、ターンでも打たれてしまうとフォールドせざるを得ません。 なので、コールを増やすよりもレイズを増やした方が有効だと思います。

たしかに、無理にコールしたのにターンで降ろされることが多くては損ですね。どの辺までブラフに回せばよいでしょうか?

ボードや相手にもよりますが、 バックドア+1オーバーなど といった降りるか降りないか境界くらいのハンドを全部レイズに回してしまっても差し支えありません。

ベットサイズが高いプレイヤー

こんなプレイヤーはどうですか?どんなボードでも全部70%使ってくるなどサイズが大きいケースです。チェックレイズ返すとポットがすごく大きくなるので悩みます。

難しいですね。このプレイヤーに対応するにはポーカーに対する正しい理解が大切です。

それを理解する上で、コールの要因というものを整理しましょう。 相手からベットを受けたとき、自分がコールする要因は2つあります。

① 相手のレンジで決まる要因 ② ベットサイズで決まる要因

①相手のレンジで決まる要因とは、相手のバリューに勝っているのか、ブラフキャッチャーなのか、ブラフに負けているのか、というところですね。

そうです。そして、②ベットサイズで決まる要因とは、ポッドオッズによるコールです。ベットサイズに対して現状負けているであろうハンドがどれくらいの確率で勝ちに転換するかを見積もってコールを検討するというものです。

ポッドオッズによる考え方をすると、ベットサイズが上がればオッズが悪くなるためフォールドが増えますよね。

そうです。ただし、相手のベットレンジの構成によってはレンジ全体のコール頻度が増えることもあります。例えば、固定の高いサイズしか使わないプレイヤーのベットレンジがベットサイズに対して弱いケースを想定します。

相手が水没ベットに近いことをしてくるケースですね。

そうすると、相手のレンジは弱いので、本来であればブラフキャッチャーとして機能するハンドが相手のバリューに勝っているケースなどが発生します。この場合、相手のバリューに勝っているハンドが相対的に増えるため、 その分コールレンジは広がります。

一方で、レンジのなかでフォールドを増やさなければならないハンド群もあります。 バックドア系の6ハイなどといった「オッズがいいからコールをしている」ようなハンド群です。これらは、ハンドの持つエクイティが担保されておらず、引けなかった場合ほぼ負けるため、フォールドが増えます。

こういったプレイヤーにはエクイティが担保されているワンペアなどでコールしていくと奏功するケースが多いんですね!

そうです。レンジの中で勝っているかどうかが重要になります。

Bet to Missed CB (BMCB)が多いプレイヤー

オリジナルのOOPがチェックした後のIPからのベット(BMCB)が多いプレイヤーはどうですか?

このようなプレイヤーには、そのアクションがミスとなるようなシチュエーションへ誘導する戦略を組むのが有用です。

例えば、 BMCBが多い人の場合には、本来OOPから打てるレベルで強いハンドもチェックに回す といったことがエクスプロイト戦略として考えられます。

チェックレイズ体制を取るハンド群を増やすということですね。

そうですね。そのうえで、相手がチェックレイズに降りないのであれば バリューでのチェックレイズを増やせば よいですし、チェックレイズに良く降りるのであれば ブラフでのチェックレイズを増やす のが有効になります。

エクスプロイトの選択肢はさまざまなんですね。

プローブベットが多いプレイヤー

プローブが多いプレイヤーに対するエクスプロイトも同様の考え方でEVが伸びます。

プローブは、IPがオリジナルのときにフロップがチェックアラウンドで回ったときのターンにおけるOOPのベットですよね。

そうです。フロップでCBを打ってしまうとプローブのシチュエーションへ行けなくなってしまいます。そのため、 プローブを打ちすぎる相手にはフロップでのCB を抑えて 、ターンにおけるIPからのレイズを増やすことが効果的になります。

特定のアクションが多い場合に、そのアクションがミスとなるようなシチュエーションへ誘導する戦略を組むのが有用になるような戦略を組むのが大切なんですね。

多くのプレイヤーが抱えるリークとエクスプロイト

ここまで代表的なプレイヤーとエクスプロイト戦略をきいてきました。Amu先生から見て、多くのプレイヤーが出来ていないことはなんですか?

最もリークがあると感じるのは BBからの3bet ですね。やはり、 ブラフ3betが少ない というのはよくあると思います。

その対策は?

ブラフ3betがないのでオープンレンジを拡大し、相手の3betへのフォールドを増やします。

3betによって降ろされることが少ないからオープンを広げるという考え方ですね。

そうです。このように相手のリークのあるアクションの前段階のところにアプローチして戦略を組むことも大切です。

クロージング


先生、全6回にわたりありがとうございました! 教わったことを参考にもっと強くなります!

ポカるくんは勤勉でしたね。

ポーカーが上達するためには、言われたことを素直に吸収することが大切です。ちょっと楽しくてレイズしてみたなど、メタゲームでもない言い訳をしてしまうと判断ができなくなり、成長するものもしなくなります。

真摯に取り組むことが大切ですね。

一方で、ポーカーは間違った情報を教えられることも少なくありません。そのため、教わったことに対して頑固にならずに情報のアップデートをかけていくことも大切です。

それから、ポーカーが上手になるためにはポーカーが好きであることも大切ですね。

Amu先生は現在GTO Wizard official coachなどを通して日本人ポーカープレイヤーのリテラシーを上げる活動を熱心にされていますよね。僕たち日本人プレイヤーに期待していることって何でしょうか?

日本人は、始めて間もない人でもオープンレンジを知っているなど全体のレベルは世界の中でも高いと思います。このまま、GTO Wizardなども活用して、ポーカーを競技として見る人が増えていったら面白くなると思います。一方で、世界トップクラスのプレイヤーは他の国と比べるとまだまだ少ないので上手な人たちで協力して切磋琢磨していく環境が作れたらと思います。

最後にひとことあったら聞きたいです。

全部で6回も一緒についてきてくれた読者の皆様にも改めてお礼を申し上げます。 これからもnoteやXなどネットを通じて情報発信は継続していきますので、今後もポーカー上達にお役立ていただければ幸いです。

たとえば、 DMM でこれまでの6回でお話してきたような内容ををもっと体系的に解説していく動画も発信しています。 これまでの講義と一緒に学ぶことできっとよりポーカーの理解が深くなると思いますので是非ご覧ください。

改めてありがとうございました!

Poker Picks

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ポーカーピックスの編集部「ポーカーのすべてをあなたに」をコンセプトにポーカーのオリジナルコンテンツを執筆。現役プロプレイヤーやディーラーなど幅広い視点でポーカーの魅力を発信する。

Amu

Amu

GTO Wizard Japan Official Coachとして、NoteやTwitterなどを中心にポーカーの理論の研究と発信し、GTO理論の国内普及に貢献する

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