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「王の覇権争い」経営者プレイヤーラスワン Part2

WSOPで8回入賞3回3位、APTハノイでの2連勝を始めとする快進撃でポーカー界隈を震撼させた、ラスワンさんこと清水望さん。自身の会社を上場させた敏腕実業家でもあり、ポーカーでは周囲を圧倒してPOY2023にも選ばれた、ラスワンさんの思考回路に迫ります。ポーカーメディアPOKER PICKSがお届けします。

バンクロールについて


バンクロールとトーナメントのバランスについてはどうお考えですか?

バンクロールがすごく大事なのは大前提。 自分が出るトーナメントの参加費×100機分くらいはない と心理的に良くないのかな。

ROI勝ち越し


ただ、もっと大事なのは、 トーナメントのROIを勝ち越す こと。 この「トーナメントのROIを勝ち越す」っていうのは、1位、2位、3位にならないと絶対に不可能。

みんなはインマネっていうものを強く意識したりとか、FTっていうものを意識したりとかするけれど。でも、同じ参加費を払った人の間で9位と1位の人がいて、10倍の賞金の差があると。つまり、バブルの前にどれだけリスクを取って1位になる確率を上げるかっていう競技であって、インマネ率を上げる競技ではないと思っている。

インマネ率やFTに残ることよりも、ROIを勝ち越すことが大事だとお考えなんですね。

本質的にROIをプラスにするためには、1位、2位、3位目指さないといけないよね。じゃあ、1位、2位、3位を目指すためには、逆算してここでリスクを取らなきゃいけないよね、っていう。かなりリスクを上の方に置いてる。 だから自分は中途半端な順位がないっていうか、9位とか8位で飛ぶことはあんまりなくて、ほぼ3位以内には必ず入ってくる。

トーナメント戦略「王の覇権」


具体的にトーナメントのどの辺でリスクを取るようにしているんでしょうか?

戦いは序盤から始まってて、まず、バブルの前にテーブルチップリになるっていう 「王の覇権争い」 がある。

最初に「王の覇権」をとるためには、もうリスクを取るしかなくて、 セカンドチップリをとにかく攻撃 しまくる。エアーで3発打ちまくるとか、とにかく攻撃する。 「こいつも俺とは当たりたくないはずなのに、当たりたくない人がなんかわかんないけどめちゃくちゃ絡んでくる......」「なんでこいつ、俺にだけ3betしてくるんだろう」って思われながら(笑)

ショートではなくチップがある人を狙うんですね。

こうやって覇権争いをして、バブルの時に王様になっておくと、すごく良いことがおきる。 もう、全部オープンして、オープンされたら3betして、フラッシュボードが出たら全部オールインして、ペアボードが出たら全部レイズして。王様の言うことが絶対になる。たまに逆らわれるんだけど、まあ、その逆らう気持ちも理解しながら(笑) 「王様だーれだ?」ってゲームをして、バブル、もとい「王様タイム」の時にいっぱいチップを増やす。

で、次はまたブラインドジャンプアップがちょっとずつあるんだけど、それを意識してモニターを見てるやつがビッグブラインドの時にはオープンして、ちょっとずつ増やしていって。 さらにFTの前になってくると、何も意味がないんだけど、FTに残りたいっていう無駄なファクターがかかってきて。この時もアグレッションを上げると。

いわゆる「〇〇バブル」とか「ジャンプアップ」がある度にアグレッションを上げるんですね。

それで、FTでは1人飛ぶ度にプライズが上がっていくわけだから、かなりリスクを取ってでも、左側のプレイヤーを全員カバーしてるんだったら全部オールインで行っちゃうと。 まあ、適切に対処されるメンバーだったらやらないけれども。

妥協せずにやる っていう感じです。本当はオーバープレイだからミスプレイだっていうことは自分でも理解しながら、相手もミスするからお互い様かなって。全然失敗して飛ぶときが多いです。 成功事例だけじゃなくて、当然その裏には屍たちがいっぱいあるっていう(笑)

ハンド選び


ラスワンさんはあまり予想外のハンドでプレイされていることも多いイメージがあります。どのような考えでハンドを選んでいるのかおしえてください。

当然強いハンドを持ってる時は誰しもやりきれるけど、本来ブラフしなきゃいけないシチュエーションで、やりきるかどうしようかなって迷うような時、 信じてあげられるハンドがあるとやりきれる 。ハンドがお守りだとかって勝手に思い込んでる分にはプラスだし。それが自信になって、自信満々で打つから「このラインブラフないよね」って思ってもらえる。

僕にとって大事なのは、 3と6と9 。3と6と9は、将来収益が1番高いハンド。 33、66、99とか、よく落ちるでしょ、2つ。綺麗じゃないですか、まず見た目。なんか噛み合ってる感じだから。369っていう守られてるパワーがあるわけだね。 できればオフまで手を伸ばしてほしい。その時はしっかりブラフもやりきらないといけないんだけど、369持ってると、ブラフも結構降ろしきれるっていうか。マイハンとかではなくて、宇宙の法則。だからブラフしても大丈夫だし、3とか6とか当たったらバリューでいいし。どっちでも取れる。

将来収益


もしもコーチングをするとしたらどんな話をされますか?

そしたら 将来収益 についての話をしたいですね。 例えばAKでオープンして、Aが当たってね、1.5bbのCB打って得られるポットって、まあ2bbとか3bbですよね。そんなことして楽しいのかと。

だから、そのちっちゃいポットでは、「広くオープンして、広くブラフしてくる奴だな」っていうイメージをしっかりつけながら、 6とか7とか多様性のレンジでオープンをしていく。 これは、相手があんまり想定してないレンジの役を作った時に一気に100bb、200bbを取る伏線でしかない。

例えば2、3、4、5とかが落ちた時に、先方はAしかない通常レンジ、僕は6を含む多様性レンジなわけなんで。

上ストレートで大きなポットを取れるんですね。

そう、だから目先の1bb、2bbの期待値なんかどうでもよくて。それから、たとえば自分が強いハンドを持ってオールインした時。本来は100bbのオールインなんてKKやAAぐらいしかコールできないんですね。でも自分相手だとA8とかATとかそういうのでコールしはじめるようになって、相手がどんどん間違えていく。

相手に「下手くそだ」ってラベリングさせて、 1bb、2bbの価値を全部捨てても、将来的に100bb、200bbを一気に取りに行く、「将来収益」っていう考え方。 1回のポットで勝った負けたとかじゃなくて、「そのラベリングありがてえ」っていう。 将来の収益をとにかくどう取っていくか。 後半結構真面目なレンジでやってるけど、先方がもうハンドのレンジをかなり読み間違えてくれるようになる(笑)

口に出せば夢は叶う


ラスワンさんの性格の原体験を教えてください

光通信っていう会社に入って、26歳の時に独立をして、コールセンターをやって。普通の営業代行の会社で、儲かるけど上場なんか絶対できない。だけど、「上場するぞ」って言って。 とりあえず絶対できないけど絶対するぞって言って、まあ言い切れば出来るんだなっていうのを、自分なりに体現したというか。 上場を目指すから、会社も、上場できる事業に変わってったりとか、人も入ってったりとか。言い切ると、それに向けて人間は逆算して行動していく。 信じてやったら必ずいける 。

ポーカーの目標などもあれば教えてください。

ポーカーの中でも、2つ目標があって、1個は各種タイトルを取ること。 もう1個は、日本で1番大きいポーカーの会社、1000億ぐらいの会社を作りたい。少しずつ形にはなってきていて、やっぱり言い切ることが大事なのかな。

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このメディアに出る上での目標はありますか?

僕は、このメディアに出るなら、日本の全体の VPIPと3bet率を上げる っていうのをミッションに置いてます。 特に3bet率を上げてほしいですよね、もっと。あと5%から7%、3bet率を日本全体であげてほしいなと。

これは僕の主観ですけど、国民性で、今まで我々は諸外国のね、言う通り生きてきたわけですよ(笑) 「こうしなさい、ああしなさい」って。「コールしなさい」「3betしちゃダメですよ」と。 でも、 俺たちはもう自由 なんだと。全体のレベルを上げたいっていう気持ちはあります。僕でもできるぞ、3bet率をあげるだけなら。

海外プレイヤーと日本人プレイヤー、両方と戦ってみて両者の違いなどは感じますか?

そんなに大きくは変わらないけど、海外プレイヤーは適切に、されたら嫌なことをちゃんとやってくる。 一方で日本人は、このシチュエーションでこういうことされたら嫌だろうなっていうことをなかなかしない。根がいいのでしない。

でも、ポーカーのトーナメントっていうのは、逆に、そういうことをしなければいけないゲームなんで、 もっと日本人が活躍できるようになればなと。僕を見て、ちょっと勇気を出してほしい。ぜひ、3betしてほしい。そして、3betが来たら4betしてほしい。本当に気合が欲しいですね。

最後に読者に伝えたいことはありますか?

SNSとかで毎日、誰かが優勝してたり、誰かが海外に行ってたりとか、いいことが誇張されて発信されている世の中なんだけど、その裏には、昼間頑張って仕事してたりとか、若い頃努力して仕事してたりとか、僕も含めて人には見せない努力がどこかにあるんだろうなと。 だから、みんながポーカー強くなったりとか、これから普及させたりするためにも、もっともっと、 今目の前にある仕事や勉強を頑張ってほしいな っていうのは、1番伝えたいことかな。仕事、勉強、人付き合いとかそういうところを磨くのが、実はポーカーで強くなるためにも1番近道なんじゃないかなっていう。

僕はトーナメントのことしかわかんないけど、トーナメントを生活にしていくっていうのはやっぱりなかなか難しいと思ってるし、そのモチベーションだと、分散の運の要素が大きすぎて、多分続かないと思う。だから、何かしらの仕事を持ちながら、 「人生を楽しむための手段としてのトーナメント」 っていう風にポーカーと向き合った方が、 より成績が出るのかなって。なんかこのトーナメントかけてますみたいなやつが優勝するイメージないじゃん。 だから、発信したいこととしては、今目の前にある仕事を頑張ろうっていう話かな。

Poker Picks

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ポーカーピックスの編集部「ポーカーのすべてをあなたに」をコンセプトにポーカーのオリジナルコンテンツを執筆。現役プロプレイヤーやディーラーなど幅広い視点でポーカーの魅力を発信する。

Lasuone

ラスワン

WSOP2023 NLHブレスレットイベントにて3度に渡り3位入賞や国内でのハイローラーイベントの優勝など国内外問わずに活躍するポーカープレイヤー。また株式会社ラストワンマイル創業者など経営者としての一面も持つ

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