「ポーカーとNFTゲームの共通点」コインムスメ代表 辻拓也
みなさんこんにちは。みなさんはフロップのCBを打つか打たないか、打つとしてどれくらいのサイズで打つか、悩んだことはありませんか?今回のAmu先生のGTO教室ではそんなフロップのCB戦略について解説してもらいました。Amu先生の考え方などを吸収してポカる君とさらに強くなっていきましょう。それでは、着席!ポーカーメディアPOKER PICKSがお届けします。
先生、今回もお願いします。
はい、今回はフロップでのcontinuation bet(CB)について一緒に勉強していきましょう。わからないことがあったら何でも聞いてください。
はい、よろしくお願いします。
まず、フロップでボードが開かれたとき、どのようなことを考えていけばいいのでしょうか。
レンジ対レンジ を考えてどういうサイズを打つか、ブラフとバリューは何かということを考えることが大事だと思います。
Amu先生、 レンジ対レンジ を考えるってどういうことですか?
自分の持ちうるハンドの集合に対して相手のハンドの集合(レンジ)がどうなっているかを想定して思考を組み立てることです。
うーんよくわからないです。
では、ポカるくんがどう戦っているかをJJ4で自分がトリップスを持ったと仮定して考えてみましょう。
トリップスだ!でも強すぎるしな~、バリュー取るためにAハイに向けて安めにbetしようかな。
それが、 ハンド対ハンド の考え方です。
でも、ポーカーはハンド同士で戦うものですよね?
いま、ポカる君は相手のAハイからバリューを取ると考えましたが、これは相手のカードをビタ読みしている考えです。これは、Aハイを持っていてほしいという願望でしかなく、実際に相手がもっているハンドはわかりません。
たしかに、実際に相手が何をもっているかはわからないや。じゃあ、相手がどこまでコール以上をしてくるかっていうことを想定するのがレンジ?
そうですね。自分の役がトリップスだったとき、ペアからAハイくらいまでにコールもらえればいいな、フラッシュドローならば少なくともコール以上してくるだろうななどと、相手のレンジを想定しながらbetをする。これが ハンド対レンジ の考え方です。
ただし、これは自分自身がどのハンドをどうプレイするか、どの役がどの割合自分側に含まれているかを考慮していません。今回ポカる君は、たまたまトリップスを持っていましたが、レンジ全体を考えてみると、ポカる君が持ちうるハンドのほとんどがJJ4のボードに絡んでいません。
そこで、レンジ全体で違和感のないbetをしなければなりません。今回自身がトリップスだったとしてハンド観点でラージベットをしたくなるかもしれません。しかしレンジ全体としては不自然なサイズになります。そのためには、自分の持ちうるハンドの集合(レンジ)を考えることになります。
ほとんどのハンドが負けていて、たまたま強いハンドを持っているときにいきなり強気で出たら変ってことか!
そうですね、自分のレンジに対して相手のレンジがどうなっているかを考えなくてはなりません。
でも、自分が レンジ対レンジ で考えることが出来ているってどうやって客観的に評価をすればいいんでしょうか?
自分が レンジ対レンジ で考えられているかを客観的に自己評価をするのは難しいです。ただ、指標のひとつとして、自分がハンドを持っていなくても戦略を構築できればレンジ対レンジを考えられている証拠です。
なるほど!そこを目指します。
フロップの時点で、ターンリバーまでの展開を想定しておくことは必要でしょうか?
そこまで想定しなくても良いと思っています。”フロップ callしてもリバーで降ろされる”嫌だから降りるべきという話もたまに耳にしますが、基本的にはそのストリート単体で考えてよく、それぞれのシチュエーションで弱いハンドから順番に降りればいいと考えています。
それは、スタックポット比(SPR)を考慮しても同じですか?
理屈的には同じです。ただし、相手がコミットしたらどんなカードが落ちたとしても絶対にリバーでオールインしてくる相手なのであればターンで降りることは検討されます。ただし、これはエクスプロイトの観点でのプレイになります。
それもエクスプロイトになるんですね。
はい。ただ、これは相手のターンのbetがバリュー過多すぎるというリークに対してのエクスプロイトであって、リバーを想定したエクスプロイトではありません。
そっか、そもそもターンのbetにブラフがないからリバーでオールインされたときに降りざるを得ないのか!
3betpot、4betpotの場合フロップで考えること(戦略)はまた変わるのでしょうか?
3betpotや4betpotはSRP(シングルレイズポット)とは異なり、お互いに構成されるレンジも戦略も変わります。
具体的に、3betpotでは何が違いますか
3betpotではポケットペアの割合がSRPよりもより多くなっています。よく、T82とボードが開いたときにヒットしている役を見がちですが、実際はポケットペアも一定割合でいます。特に3bpでは割合で顕著に出てきます。
たしかに...。
4betpotはまた厄介で、100bb以下でプレイした場合、4betサイズが小さく、安すぎるから頑張ってcallしているハンド群が多いです。そのため、 フロップで打たれたらfoldするトラッシュハンドが多く、アグレッサーは高頻度で小さいbetを打って降ろす頻度が比較的増えます。
そうなんだ!
したがって、4betpotのフロップでは30%よりも小さい10~20%サイズのbetを使うのも有効です。
わかりました!
ポジションによってCBはどのように変化するのでしょうか?インポジション(IP)とアウトオブポジション(OOP)で戦略に差は出てくるのでしょうか。
ポジションによるCB戦略の違いを知りたい場合はBTN vs BBのSRPとSB vs BBのSRPを比較してみるとよいです。
SB vs BBのSRPの場合、サイズは変わらないけど頻度が6割くらいに落ちます。
先生のおかげでレンジ対レンジで考えることの大切さや、戦略の変化がある程度わかりました。次は開かれたフロップで戦略がどう変化するのか教えてください。
わかりました。どういったボードが知りたいですか?
まずはモノトーンボードから教えてください。
モノトーンボードは全体的にbet頻度もbetサイズも下がります。
どうしてですか?
それは、ナッツハンドをお互いが持ちうる、かつ捲られることがあまりないことが理由です。レンジ全体でお互いpotが大きくなることを恐れます。そのため、仮に自分が強いハンドを持っていたとしても慎重に戦っていきます。
たしかに、Axスーテッドなどはお互い持ちうるハンドですもんね。
コネクテッドボードはどうですか?
コネクテッドボードは、見かけや周りで言われているよりはそこまで怖がらなくてよいです。基本的には最も高いハイカードを見て戦略を考えるほうがよいです。
そうなんですね、コネクテッドボードというだけでかなり意識していました。
コネクテッドボードはどちらかというとcall側の方が難しいです。ヒットドローがどれくらいあるかを考えなければならないからです。
トップヒットから強い順にcallしてはいけないんですか?
たしかに、通常のボードではトップペアは降りづらいです。しかし、コネクテッドボードの場合は、たとえミドルペアでもドローがついている方が価値が高いです。
ターンやリバーで捲ったときの期待値があるからですね。
ポカる君、今日は鋭いですね。そうです。ただし、ヒット+ドローもトップヒットも全てcallしてしまうとcallしすぎになってしまいます。そこで、ヒット+ドローをいつもより守る分、トップペアをある程度降りる必要が出てくるというワケです。
ペアボードはどうですか?
ペアボードはSRPと3bpで戦略に大きく差が出ます。SRPなら基本的にはいろんなハンドで安くbetします。一方で、3bpはペアのカードがミドルカード以下だと比較的大きなサイズでbetしていきます。
3betpotにおけるミドルカード以下のペアボードでbetサイズが大きくなるのは何故ですか?
3betpotだとお互いのレンジが非常に狭く、トリップスの可能性がお互い低いため、純粋なポケットペア勝負になりやすいからです。773のボードが開いても、74スートとかを持っていることはお互い少ないですよね?
あはは...そうなんですね....。
まさかポカるくん74スートで3betpotを戦っていたんですか!?
ぎくっ...!
まあいいです。ここではGTO wizardのレンジで戦っていると仮定します。そうすると、3ベッター側はAAからQQというハイポケットを持っている可能性が高く、一方でコーラー側はJJ-66を持っている可能性が高いです。そこで、3ベッター側は高いサイズでミドルポケットにプレッシャーをかけていく戦略を取るわけです。
なるほど!
Amu先生、ボードごとの立ち回りはよくわかりました!でも、それぞれ複雑でなかなか覚えられないです。1つのbetサイズなら簡単なんですけど、そのような戦略を取るのはダメですか?
簡易戦略と言われているものですね。実は単一サイズのbetで構築する戦略は数年前に存在していました。たしかに、簡易戦略を構築したほうが間違いが少なくなるというのはあります。
しかし、将来エクスプロイトすることを考えたら、CBのサイズがいっぱいある混合戦略を取った方が強いです。理論上でもbetサイズは多ければ多いほど良いと考えられていますので、将来性を考えて豊富なbetサイズに挑戦したほうがよいと思います。
実際、Amu先生はどれくらい打ち分けているんですか?
僕はメッチャ打ち分けます。
そしたら、僕も打ち分けられるようにがんばります!
Amu先生、ここまでお話いただいた話は理解できました!けど、実際GTO Wizardを使用して勉強するときにはどのように勉強すればよいのでしょうか。
前回もお伝えしたGTO Wizardの集合分析を活用するといいと思います。
特に、集合分析のフィルター機能を用いるのが有効です。CBの勉強は、自分で1755通りあるフロップを並べて、特徴量を考えて、理解しやすいようにまとめるというのが必要になります。そのため、フィルター機能を使ってAハイだけなど、いろんなフィルターをかけていって上手くまとまっている部分を見つけていくということがベーシックな勉強の仕方になると思います。
そうなんですね。でも、なんだか大変そうだなぁ。
最近は、僕もnoteを出していますし、他の方でもとても参考になるnoteや記事を発信しているので、そういったものを参考に勉強するとよいと思いますよ。それに慣れてきたらまだ誰も発信していないスポットについて自分でまとめてみるというのもよいと思います。
僕もBTN vs BBのフロップ戦略についてまとめているので、一度見たら「こうまとめてみればいいんだ」と理解できるといいと思います。
なるほど!
また、スポットによっては別の理論なども導入しなければならず、理解に難渋することもあります。そういったときは、詳しい人に聞いてみるのが一番です。
分かりました!もし僕がわからないことに遭遇したらAmu先生に聞きますね。
先生、今回もありがとうございました。CBについて理解できて、また強くなった気がします! また次回も教えてください!
もちろんです。これからも厳しく指導していくので覚悟してくださいね。
ポーカーピックスの編集部「ポーカーのすべてをあなたに」をコンセプトにポーカーのオリジナルコンテンツを執筆。現役プロプレイヤーやディーラーなど幅広い視点でポーカーの魅力を発信する。
GTO Wizard Japan Official Coachとして、NoteやTwitterなどを中心にポーカーの理論の研究と発信し、GTO理論の国内普及に貢献する